ZBrushで作ったフィギュアをBlenderでレンダリングする方法

ZBrushで作ったフィギュアをレンダリングするときは大体はZBrushに入っているBPRレンダリングで行うかと思いますが、今回はより実物のフィギュアっぽくレンダリングすることのできるBlenderを使ったレンダリング方法を、自分で理解するという意味も兼ねて紹介したいと思います。

説明画像の字が汚いですがご容赦を



まず大前提としてフィギュアモデルのポリゴン数にもよりますがそこそこのCPU性能が必要になると思います。

私はRyzen9 3950X、メモリ32GBのPCにてこの作業を行いました。



1.BlenderとZBrushにGoBをインストールする

まずはGoBをダウンロードしてインストールしてください。詳しいインストール方法はこちらのブログの方が詳しく説明されているのでそちらを参照してみてください。



2.Blenderでステージor背景を作成する

まずBlenderでレンダリングするために背景を作成します。

Blenderを起動したら最初のCubeメッシュを選択し左端にある拡大縮小である程度の大きさまで大きくします。



その後 tabを押して編集モードに変え、左上にある、面選択ボタンを押した後Cubeの後ろと下以外の面をShift+クリックで選択した後にDelete→面で背景と床だけにします。


次に右上の辺選択ボタンをクリックし、背景と床をつないでいる辺を選択します。

選択したら

左の上から11番目ぐらいにあるベベルを押し、辺に刺さっている黄色いピンをクリックしながら下に引っ張ると角が削れます。適当な大きさで離し、もう一回同じ動作を行い、下の画像の様な感じにします。


次に再びtabでオブジェクトモードに戻したら背景モデルをクリック→右クリック→スムーズシェードでなめらかにします。


次に模様をつけます。

画面上部にあるUV Editingをクリックします。ない場合は+ボタンを押して開いてください。

すると以下の画像の画面が出ると思うので、まずは左の画面の上部にある開くというボタンをクリックし背景画像を選択します。

背景画像は

こういったサイトから拾ってくるといい感じの背景が見つかります。



画像を展開したら今度は右の画面でAを押し背景モデルを全選択します。

すると左側に棒と点ができると思いますがバラバラでこの状態だと綺麗に背景が表示されません。なので左画面で右クリック→展開でUVマップ内に綺麗にポリゴンを並べます。


縦長の画像ならばこのままで良いのですが今回使用した画像が横長の画像ですので並べたポリゴンを回転させます。左画面上でAを押しポリゴンを全選択した後、左端にある回転をクリック中の白い円をクリックして回転します。このときクリックしながらキーボードで「90」と打つとちょうど90度になります。同じく左にある移動や拡大縮小を使用しいい感じに画像内に収まる感じにします。


次に、マテリアルに画像を適応させるために左のシーンコレクション内のCubeをクリックした後、左下の方にある赤くて丸いアイコンのマテリアルプロパティをクリックします。

ベースカラーと書いてある横の丸をクリック→画像テクスチャ→展開で先程使用した背景画像を開きます。


最後に再び画面上部にあるLayoutをクリックして元の画面に戻します。


これでとりあえず背景は完成です。


3.HDRiの設定

ライトを複数使用してメインライト、サブライトでライティングする方法もありますが、調整が面倒くさいのでHDRiを用いてライトの設定を行います。


使用するHDRiはHDRI HAVENのstudio small 02またはstudio small 03あたりが良いです。

HDRiをダウンロードしたら設定していきます。

まず右の真ん中あたりにある赤い地球儀マークのワールドプロパティをクリックします。

次にカラーの右横の白丸をクリック→環境テクスチャを選択します。

最後にフォルダマークをクリックし、先ほどダウンロードしたHDRiを開きます。


後で実際にフィギュアモデルを入れた際にもう少し明るくしたい場合ときは、強さを上げることで明るさを上げることができます。


これでHDRiの設定は終了です。


4.レンダリングエンジンの設定

レンダリングの設定を調整していきます。

まず画面上部のRenderingダブをクリックします。

その後レンダー上部のレンダープロパティをクリックし、初期設定ではEeveeになっているレンダーエンジンをCyclesに変更します。

次にカラーマネジメント内のビュー変換をFilmicから標準に変更します。

露出とガンマに関しては最後に調整していくので今は変えなくても大丈夫です。


画面上部のタブからLayoutに戻ったら、これでレンダリングの設定は終了です。


ここまでをBlenderファイルとして保存しておくと次回からフィギュアモデルを入れるだけで良くなるので楽になります。



5.フィギュアモデルの移行


次はZBrushで作成したモデルをZBrushに移していきます。

まずは全てのポリペイントをONにして材質が似たものを下と結合でまとめていきます。

私は大体は肌、服、光沢のある材質の服、金属、髪で分けて結合してます。


結合が終わったら一旦Blender画面に戻り、画面上部の新規コレクションをクリックしフィギュアモデルを入れるコレクションを作成します。名前はわかりやすいように適当に。


終わったらサブツールを選択し、ポリペイントがONになっていることを確認した後、ツール上部にあるGoZをクリックします。

処理が終わったらBlenderに戻り、先程作成したコレクションをクリックしてから画面上部にあるimportをクリックしてフィギュアモデルをインポートします。


この工程を全サブツール移し終えるまで繰り返します。

GoZの横に「全て」というボタンもあるのですが私の場合はポリゴン数が多すぎたのか、サブツール数が多すぎたのかわかりませんがうまく動かなかったため、一つずつやっています。


全部のサブツールを移し終えたらZBrushは閉じてしまって大丈夫です。

ただ移しただけではフィギュアが背景にうまく収まっていないと思いますのでフィギュアを拡大縮小して丁度いいサイズにしていきます。


先程インポートしたフィギュアモデルを右上にあるアウトライナーでCtrl+クリックを行い全てのフィギュアのパーツを選択します。


選択したら左端にある拡大縮小や移動を用いていい感じに背景内に収めます。


6.ポリペイントも適応


次にZBrushのときに作成したポリペイントを適応していきます。

Blenderをマテリアルビューモードに変更しておきます。


フィギュアパーツの一つをアウトライナーで選択し、マテリアルプロパティを開きます。

開いたらベースカラーの横の白丸をクリック→頂点カラー→下にできた空欄をクリック→Colを選択します。

これでポリペイントが適応されました。

次にこのパーツの光の反射度合いや表面の粗さの調整をします。

基本的にスペキュラーと粗さのみの調整だけで大丈夫だと思います。

スペキュラーは光の反射の度合い、粗さは文字通り表面の粗さの度合いです。

私は基本スペキュラーは0.2、粗さは0.5にしていますが、光沢のある服装や髪、顔、体に関しては馴染むように微調整しています。


これを白単色のパーツ、金属パーツを除いた全てのパーツで行います。


白色単色のパーツの場合はペースカラーの横の白丸をクリック→RGB→カラーパネルより白を選択します。


金属パーツの場合はサーフェスの横の白丸をクリック→光沢BSDFを選択します。

金の場合はカラーをffd700に設定します。



白単色パーツも金属パーツもポリペイントのパーツと同様にスペキュラーや粗さの設定を行います、


これでポリペイントの設定は終了です。



7.カメラの調整

次にレンダリングする際に使用するカメラの位置を調整します。


現状では遠かったり近すぎたりでうまくフィギュアが写っていないと思います。

アウトライナーよりカメラを選択後、画面左にある回転や移動を使用してカメラをフィギュアに向けます。

カメラビューを確認する際は3Dビュー上で0を押すとカメラビューに切り替わります。

正確な数値を見て調整したい場合はアウトライナーと3Dビューポートの境目にある灰色の出っ張りをドラッグして引っ張ります。

出てきたメニュー内のアイテム→トランスフォームで位置や回転の詳しい数値を見ながら調整できます。


この段階ではとりあえずカメラにフィギュアが映る程度まで調整するだけで大丈夫です。


次にカメラビューを見ながらカメラの位置を微調整していくのですが、今の状態だとカメラビューは固定されていて自由に動かせないので動かせるようにします。


先程アウトライナーと3Dビューポートの境目にある灰色の出っ張りをドラッグして引っ張り出したメニュー内のビュー→ビューのロック→カメラをビューにロックのチェックボックスにチェックを入れると0でカメラビューにした状態で自由に動かすことができるようになります。ホイールクリック、Shift+ホイールクリック、ホイール上下で最適なカメラ位置に微調整します。


調整が完了したら必ずカメラをビューにロックのチェックボックスは外しておいてください。


これでカメラビューこれでカメラの位置の調整は終了です。



8.ライトの調整

ライトの調整を行います。

まず3Dビュー上で0を押し、カメラビューに切り替えた後にレンダープレイビューモードに切り替え、レンダリング画像を確認します。

レンダープレイビューモードだと確認しづらい場合はF12を押して一回レンダリングしてください。


レンダリング画像を確認し、最適なHDRiの強度を調整していきます。



HDRiの強さの調整が終了後、レンダリング画像を見るとHDRiのライトにより一部、影ができてほしくない場所に影ができてしまっているのがわかります。次はこの影を薄くするためにライトを追加追加していきます。


消したい影からライトの位置を大まかに考え、ライトを作成していきます。

今回は左手による顔の影と右腕の脇から腰にかけての影を薄くしたいため左前からライトを当てていきます。


アウトライナーでLightを選択右下のオブジェクトデータプロパティにてライトの種類をポイントからエリアに変更します。

変更後ライトを右にある移動を使用して影を消せる位置まで移動させます。

次にライトについている黄色いピンがついているかと思います。これで光の方向を調整します。黄色いピンをドラッグした後フィギュアモデルの光を当てたい位置までマウスを動かし離します。


オブジェクトデータプロパティのパワーは大体500~1000Wの間で、サイズは3~7m程度でレンダープレイビューを見ながら調整していきます。


位置が悪かった場合は再びライトの位置や向きを調整し納得のいくライティングになればライトの設定は終了です。


今回は一つでしたが消したい影の位置によっては複数のライトを作成しライティングの調整を行ってください。



9.レンダリング

いよいよレンダリングを行っていきます。

画面上部のRenderingダブをクリックしレンダリング画面を開きます。

次にサンプリング数の調整を行います。レンダープロパティ内のサンプリング→レンダーの数値を調整してサンプリング数を調整します。

数値が大きいほどノイズの少ない画像になるのですが、その分レンダリングの時間がかかるようになります。参考に3950Xでのレンダリング時間は1024だと5分ちょっと、2048だと15分弱、4096だと30分弱程度のレンダリング時間がかかります。

おすすめは1024です。


サンプル数を決定したらF12を押しレンダリングを開始します。

レンダリング終了後開いたウインドウから先程のウインドウに切り替え、レンダリング画像の最終調整を行います。レンダープロパティ内のカラーマネジメントの露出やガンマの調整を行い最適になったら左上にある画像→名前をつけて保存で画像を保存してレンダリングは終了です。






Blenderにてレンダリングを行おうと考えたのが一ヶ月ほど前でまだまだ勉強不足ですが、私なりにまとめてみました。BlenderでZBrushのフィギュアモデルのレンダリングを行おうと考えている人の参考になれば幸いです。



GWに作成したパープルソフト最新作の青春フラジャイルより鳥羽せつなの画像です。

これをBlenderでレンダリングをしております。

此葉の箱

ディーラー「ネコノハコ」の配布物の情報や3Dプリンターでのフィギュアの作製工程のブログを載せていきます。 Twitter: @ne_ko_no_ha_ko     Mail: nekonohako.figure@gmail.com

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